特集: 秋作業を安全に進めるために

 農作業による死亡事故は全国で毎年400件前後発生しています。そのうち農業機械による事故は全体の7割近くを占めます。コンバインによる死亡事故も毎年10件前後、負傷事故は100件以上発生しています。

 いよいよ秋の繁忙期が近づいてきました。毎年、多くの農作業事故が報告されていますが、農業機械に関係する事故の多くは作業前の点検・整備を行うことで防ぐことができます。
  本格的な秋作業が始まる前にしっかり点検・整備を行い、事故の無い収穫の秋にしましょう。

コンバイン


ベルトの張りを確認

  コンバインは故障が発生すると、修理のための乗降回数が増え、事故の危険性が増します。また、詰まりを取り除く際などに手指を巻き込まれる事故も考えられますので、作業前点検でなるべくトラブル発生の可能性を減らしておきましょう。

・ファンベルト

 ベルトの中間を押したときのたわみを測り規定値と異なる場合は調整します。
  また、ベルトが磨耗していたり亀裂がある場合は新しいものに交換しておきましょう。

・ラジエータ

 冷却水量を点検し、減っている場合は規定量まで補充しましょう。漏れについてはエンジンをアイドリング状態にして各部を点検します。同時にホースが膨張したり亀裂が入っていないかも確認しましょう。
  また、防塵フィルタはエアーや水で清掃しておきましょう。

・エアクリーナ

 エレメントを取り外してほこりを落としましょう。

・エンジンオイル

 オイルの量・汚れ・漏れなどについて点検します。汚れている場合は交換します。ただし、オイルの量が増えている場合は水、燃料などの混入が考えられますので農機具課にご相談ください。

・刈刃など

 刈刃・扱き刃・ワラ切刃・排ワラカッタは欠損や磨耗、曲りを確認します。排ワラカッタの交換は負傷事故の多い作業ですので特に注意して行うか農機具課に依頼しましょう。

・注油

 集中注油装置で注油します。ただし、脱穀部のフィードチェーンやワラ押さえ台(きょうやく台)は集中注油装置では注油できませんのでオイル注しなどで直接注油しましょう。

乾燥機

 乾燥機の事故で圧倒的に多いのは火災事故です。機械だけでなく乾燥施設まで全焼してしまうケースもあります。
  深夜まで運転するケースが多いこと、火災原因に籾・ゴミの詰まりが多いことから作業前の点検・整備が特に重要になります。

・風洞内

 張込み口を開けて風洞内・金網のゴミや昨年の籾を取り除きましょう。

・Xベルト

 ベルトは指で軽く押し、10〜15o 程度たわむように調整します。同時にベルトの磨耗や亀裂がないか確認し、必要があれば交換しましょう。
  同時にスプロケット、チェーンに注油しましょう。

・下部スクリュー

 スクリューの螺旋部分、羽根板部分の磨耗を確認します。磨耗が激しい場合は交換が必要ですので農機具課に依頼しましょう。

 

異常燃焼は火災の原因!

 乾燥機の異常燃焼は直接火災の原因となります。火炉の安全装置の状態を確認するとともに取扱説明書を熟読し、作業中も常に手元に置くようにしましょう。

・昇降機

 昇降機の点検窓から、ベルトの張りや片寄りを確認します。ベルトが片寄っていた場合は片寄った側の張りボルトを2〜3回転締めて、運転するとベルトが中央に戻ります。
  また、バケットの磨耗を確認します。磨耗がひどい場合は交換を依頼しましょう。

・排風ダクト

 ダクトを取り付ける前に送風機のホコリを取り除きます。ダクトはなるべくまっすぐになるよう取り付けましょう。
  また、排出口付近に物を置くのは避けましょう。


籾摺機

 籾摺機では、籾の詰まりを取り除く際、指を巻き込まれるという事故が報告されています。
  詰まりの頻発する部位を重点的に点検・整備して、詰まりの発生を最低限に抑えましょう。

・昇降機

 昇降機のベルト、バケット、スロワーを確認し、磨耗が激しい場合は交換します。
  また、昇降機ベルトの張り、片寄りを上部の左右調整ボルトで調整しましょう。

・選別胴

 目詰まりを清掃しておきます。また、揚こく羽を確認し変形があれば交換しましょう。
  揺動板の場合も同じく目詰まりを取り除きましょう。

・ゴムロール

 磨耗状況を確認します。ゴム部が1/4まで減っていたり偏磨耗していた場合は交換しましょう。

・各部駆動ベルト

 Xベルトの磨耗と亀裂を確認します。磨耗が激しい、亀裂が入っている、また、テンションプーリー調整後にたわみが大きい場合も交換しましょう。

点検・整備のときは必ず動力停止を!

 巻き込み事故防止のため、稲ワラ・籾などが詰まってしまったときは必ず動力を停止してから取り除くようにしましょう。
  コンバインでの手こき作業は事故の危険性が高く、細心の注意が必要です。
  作業中は必ず機体を停止し、刈取りクラッチも切りましょう。機体の内側に手を入れないよう作業しましょう。また、巻き込み防止のため手ぬぐいや手袋の使用は控えましょう。
  万が一の場合には「緊急停止ボタン」でエンジンを停止させることができます。事前にボタンの位置を確認しておきましょう。

乗降時に注意!

 農作業は水田など泥や水で濡れている所で行うことがほとんどです。コンバインなどの農業機械は運転席が高所にあり、乗降時に足を滑らせ転倒するケースがあります。
  あわてずに一歩ずつ、必ず手すりにつかまりながら乗降しましょう。絶対に飛び降りたりしてはいけません。

熱中症にも注意!

 今年は連日の猛暑で熱中症が多発しています。
  過去のデータでは病気による農作業死亡事故のうち、7割以上が熱中症によるものです。炎天下ではもちろんですが、熱がこもる風通しの悪い作業所などで特に注意が必要です。作業所内はできるだけ風通しを良くし、こまめな水分・塩分補給に努めましょう。
  気分が悪くなったら、できるだけ身体を冷やし、早めに受診するようにしましょう。


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