日本政府は農業団体などの根強い反対の声に耳をふさぎ、国民に対して全くと言っていいほど説明のないままTPP交渉への参加を決定しました。
 TPP交渉は我々の生活に大きな影響を及ぼす恐れがあるにもかかわらず「秘密交渉」となっており、交渉内容の詳細が明らかにされません。
 気になるTPP交渉の経過で現在わかっていることを以下にまとめました。ただし政府からの発表はほとんどありませんので推測の部分があることをご了承ください。

合意文書捏造 守れない「聖域」

 4月12日、日米間で合意文書が交わされ、日米それぞれから発表がありました。日本の文書には「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というセンシティビティ(重要品目)があることを認識しつつルールづくりおよび市場アクセス交渉において緊密に共に取り組むことで一致」といかにも農産物の重要5品目「聖域」が守られるような一文がありますが、アメリカ側の発表した文書にはこのような文書はどこにも見あたりません。この文書捏造とも受け取れる行為は4月13日の朝日新聞でも取り上げられています。

日本交渉参加直前 すでに半分近くが合意済

 日本の正式参加前の6月には、29章の条文案のうち@衛生植物検疫(SPS)措置、A税関、B越境サービス貿易、C電気通信、D一時的入国、E政府調達、F労働、G協力とキャパシティー・ビルディング(途上国の能力向上)、H競争とビジネス促進、I開発、J中小企業(横断的特別部会のひとつ)、K規制の整合性、L設立条項及び定義、M協定管理及び制度的条項の14章の議論がすでに実質的に終了していました。

7月・交渉初参加も何もできず

 7月23日、日本はマレーシアで開かれていたTPP交渉の席に100人以上の代表団を派遣、初めて正式に交渉参加をしました。
しかし、マレーシアでの交渉会合は同月25日までの会期で日本に残された時間は2日余りしかなく、その2日間も用意された交渉経過や条文案をまとめた「テキスト」を読むことに手一杯で、安倍総理が死守すると言ってきた重要5品目「米・麦・乳製品・牛豚肉・サトウキビなどの甘味資源作物」を関税撤廃の例外品目とする主張を発言することもなく、参加各国は日本が重要5品目の除外を主張していることすら知らないまま終了したといいます。

8月・11ヶ国合意にまったく口出しできず

 8月22日から30日まで行われたブルネイ会合ではこれまで11ヶ国が合意した条文案について日本が変更を求めないまま終了しました。鶴岡公二首席交渉官は「( 10月の大筋合意に向け)最後の重要な時期に対等な立場で、また主要な国として交渉に参加できた。先行11カ国は日本の見解をちゃんと聞いて議論してくれた。」と話しましたが、昨年6月から交渉に参加したカナダとメキシコには参加時に「@現行の交渉参加9ケ国がすでに合意した条文は全て受け入れ、9ケ国が同意しない限り、再協議は行わない。A将来、ある交渉分野について現行9ケ国が合意した場合、(新規参加国は)拒否権を有さず、その合意に従わないといけない。B交渉を打ち切る権利は、9ケ国にあって、遅れて交渉入りした国に認められない。」という厳しい条件を課す念書が送られたことが明らかになっています。日本政府は日本に対して同様の念書が送られてきたかどうか明らかにしていませんが、ブルネイ会合での日本の交渉ぶりやカナダ・メキシコよりさらに遅れて交渉に参加した日本に条件が無いことは考えにくいことから、同様の内容か、もしくはそれ以上に厳しい内容の念書が送られてきていると考える方が自然です。

9月・秘密主義炸裂 米が日本の報道警戒


後発国には厳しい制限が…

 

 

 9月18日から21日までの4日間はアメリカのワシントンで首席会合が開かれましたが、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。「日本が交渉に参加してから報道量が急に増えた。」ことを理由にアメリカが「報道管制」を敷いたからです。会合の会場も明らかにされませんでした。
会合では今月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議に合わせて開かれたTPP首脳会合に向けて、交渉を加速させる方策を協議したようですが、特許や著作権を保護するルール作りや、国有企業と民間企業の競争条件など各国の利害が対立している分野は先延ばしにされたようです。
また、「協定発効後1年間は自由化率75%」を提示した日本に対し、オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・チリの4か国が100%関税撤廃を求めていることが判明しました。他の交渉参加国も自由化率はおおむね95%以上を目指すようです。日本が仮に重要5品目以外をすべて関税撤廃しても自由化率は93.5%に留まることから、日本がTPPに参加する以上、重要5品目の例外化いわゆる「聖域」は守りきれないことがほぼ確実な情勢のようです。

10月・JAグループ集会聖域 守れないなら脱退を

 自由民主党は昨年12月の衆議院選挙の公約で「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する。」「国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。」と言っていました。しかし、TPP交渉が進む中、「聖域」が守れない情勢であることが分かってきただけでなく、ISD条項についても日本はいつの間にか導入推進に回っているようです。
JAグループは10月2日、東京都の日比谷野外音楽堂で8日のインドネシア・バリ首脳会合に備えて、反対集会を開きました。同会合では交渉の「大筋合意」が表明されるとみられていて、全国から集まった約3500人の生産者・消費者がこの集会で「秘密主義」なTPP交渉や日本政府に対し、国会決議の順守や国民への情報開示の徹底を政府に求める集会決議を採択しました。県単位でも富山県選出国会議員に対して国会決議の順守を要請するなどの活動を行いました。
10月の会合では、12月にも閣僚会合を開き、難航する関税分野などの協議を進める方向で調整していることが分かりました。

ISD条項(投資家対国家の紛争解決)
多国籍企業など投資家が投資先国の政策や規制によって損害を受けた場合に、その国を訴えることができる。もし国家が敗訴した場合、その企業に賠償金を支払い該当の規制を撤廃しなくてはならない。
TPP交渉ではオーストラリア、マレーシア、ベトナムが導入に反対。日本はいつの間にか導入推進側に立っていた。政府は「日本企業が途上国などで不利益を受けないよう担保するルール。」と説明。しかし、反対派は元々、訴訟大国アメリカの企業に日本が訴えられることを危惧している。

 

TPPの影響はすでに我々の生活にジワリ

軽自動車がなくなる!?

 いま、軽自動車税の増税が検討されています。引き下げが見込まれる自動車取得税の代替財源という名目ですが、元々「自動車取得税は消費税率が10%になった時点で廃止」と消費税率を上げる見返り措置としてのもので、軽自動車税増税とは関係ないはずです。
アメリカはTPP交渉以前から「アメリカの車が日本で売れないのは軽自動車の税制優遇のせい。」として、安い軽自動車税や独自の規格を非関税障壁とみなして撤廃を要求していました。軽自動車税増税はアメリカの圧力との見方が強く、軽自動車そのものの存続を危ぶむ声も聞かれます。
軽自動車大手スズキの鈴木修会長兼社長は「軽の利用者は地方の人や所得の低い人が多い。」「軽自動車税の増税は弱い者いじめになる。」と発表しています。

日本郵政とアフラックの提携

 日本のTPP交渉正式参加直後の7月、日本郵政がアメリカの大手保険会社アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)とがん保険の分野で提携強化すると発表しました。
TPP交渉では「競争政策」分野で協議されている国有企業の優遇措置規制にあたり、事前協議でもアメリカが開放を求めていた保険分野で譲歩した形です。これによりアフラックは今後、日本郵政の持つネットワークを利用し、全国2万店舗でがん保険の販売が行えるようになります。

強まる情報統制

 政府は10月召集予定の臨時国会に「特定秘密保全法案」を提出する方針です。同法案は国にとって重要な情報を「特別秘密」に指定し、その秘密を扱う人やその周辺の人々を政府が管理するもので、同法案が可決されれば情報を漏えいした人に厳しい罰則が与えられることになります。
TPPについては協定発効後も4年間はその内容を秘匿することが先行交渉9ヶ国で合意されており、10月以降大詰めを迎えるTPP交渉の情報どころか、TPP成立後でも協定内容を知ることができない事態が予想されます。

みんなでTPP反対の声を

 JAみな穂は私たちの生活に大きな影響を及ぼす可能性のあるTPP交渉を秘密裏に進める政府の姿勢を危惧し、引き続きJAグループおよび広範な国民各層と連携を取りながらTPP交渉即時脱退を訴えていく考えです。みなさんでTPP交渉即時脱退の声を広げましょう。

※本記事は10月7日時点の状況を基に作成したものです。


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