「農協改革」案 強制→自己改革への流れ

 昨年から農協のあり方について検討を重ねてきた政府の規制改革会議は今年の5月22日に「農協は農産物販売などの経済事業に全力投球し、農業者への支援を強化するため、単位JAの活性化や健全運営の推進が必要。」とした中央会制度の廃止や全農の株式会社化を含めた農協改革案を決定しました。
この案に対してJAグループは「グループの解体につながる。」として国会議員への働きかけや全組合長・会長会議を緊急開催するなどの運動を展開してJAグループとしての改革案を提示しました。
その結果、6月10日に与党がとりまとめた「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」の内容は、JAグループの組織変更を強制されない形で、独自に組織形態の見直しや新たな制度の検討を進められる自己改革を強く後押しするものとなりました。

農協改革の目的

 農協改革の主な目的は「農家所得の向上」と「地域サービスの安定的提供」による農業・農村の発展です。JAグループは「農業者の高齢化」「農業構造の変化」などとりまく環境の変化に対して徹底した議論を行い、地域の活性化に向けた自己改革案を取りまとめていく考えです。

JAの自己改革に向けた主な検討課題

 上の与党とりまとめのように農協改革の方向性は示されていますが、JAグループは自らとりまく環境の変化に問題意識を持って、組織・事業のあり方を検討していく必要があります。今後の自己改革は以下のような環境変化等の認識共有化をはかり、それに対する課題を組合員段階まで掘り下げて徹底的に議論していきます。

JAグループをとりまく主な環境の変化

○農業生産基盤の変化
・農業生産を支えてきた農業者の高齢化・世代交代により、担い手不足・労働力不足が深刻化
・農地利用全体の5割が担い手に集約
⇒次代の農業生産の中心となる「担い手経営体」の育成と総合性を生かした支援が課題

○JA販売事業環境の変化
・食生活の多様化により加工・業務用農産物の需要が増大するなか、国産のシェアは低下
・チェーン化した大手量販店による生産現場の囲い込み・直接取引が増加
⇒このような状況に対応し「担い手経営体」の所得増大を実現するための新たな販売事業方式の確立が課題

○JA合併の進展と多様化
・JA合併の進展により1県1JAが出現
・JAごとに地域の実態をふまえ、事業構成や事業規模・組織規模などが多様化
・JAの規模拡大が進む中でJAの抱える課題も個別化、高度化
・JA合併に伴い連合組織の統合も進展

○組合員基盤の変化
・農業構造の変化、農業者における規模の格差・拡大など階層分化
・准組合員数が正組合員数を上回る
・農協法が制定された戦後直後とは、環境・組織が大きく変化
・JAグループとしてはこれまでJAを「食と農を基軸に地域に根ざした協同組合」と定義

○中央会のありようの変化
・JAには自立した経済主体として積極的な事業運営に転換するための事業・組織改革が求められており、それに対する中央会のあり方を具体化する必要

主な検討課題

1.JAの事業・組織運営のあり方
農業生産の拡大、農業者の所得向上、地域活性化に向けたJAの役割を果たしていくためにガバナンスのあり方や買取販売・投資などを積極的に展開する際のリスク軽減のあり方をどう考えるか

2.JA合併に関する基本的考え方
JA総合事業をめぐる環境が厳しくなる状況において営農経済事業の強化が求められている中、信用事業、営農経済事業それぞれの観点からJAの合併をどう考えるか

3.JA営農経済事業を強化する連合会の事業・組織のあり方
@米、青果物、畜産物など品目ごとの流通等の特徴をふまえたJAの有利販売に資する販売戦略と新たな販売事業方式をどう考えるか
A肥料・農薬など競争力の高い生産資材の調達・供給などJAの購買事業戦略をどう考えるか
BJA営農経済事業を強化する信連・農林中金の事業と組織のあり方をどう考えるか
CJA営農経済事業を強化する共済連の事業と組織のあり方をどう考えるか

4.組合員組織基盤の変化をふまえた
組合員制度のあり方
全国では、准組合員数が正組合員数を上回るなど、組織・事業基盤が大きく変化してきている中で、協同組合としてのJAの姿(職能組合、地域協同組合としての制度など)や、組合員制度(准組合員など)をどう考えるか

5.中央会の役割・機能発揮のあり方と組織体制等のあり方
@JAの将来像を見据えた中で、それに対応する中央会のあり方をどう考えるか
A中央会の機能発揮のあり方をふまえた将来の県中・全中の体制をどう考えるか。現行の法的位置づけをどう考えるか

 

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