地場産調味料でおいしく地産地消

 10月5日、TPP交渉参加12か国は米国のアトランタで閣僚会合を開き、大筋で合意したことを発表しました。
 安倍晋三首相は「交渉の結果、農業分野で米、牛肉、豚肉、乳製品といった主要品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保することができた。」と述べましたが、日本は農産物の輸入関税の大幅削減、特別輸入枠の新設など重要品目で大幅に譲歩し、非常に高い水準で農産物市場を開放することになっており、今後、国会決議との整合性や影響の大きい分野への国内対策の検討が問題となります。

重要品目の合意内容

・関税を維持する代わりに米国、オーストラリアに対して特別輸入枠(SBS方式)を新設しました。

新しい輸入枠
 米国      年間7万トン
 オーストラリア 年間8400トン

(SBS方式=買い手と売り手の連名による同時売買契約。輸入の義務はない)

・既存のMA(ミニマムアクセス)の枠内で事実上、米国産米優遇枠(6万トン)。
(ミニマムアクセス=WTOウルグアイ・ラウンドで設定された。決められた輸入枠内に低関税を適用する。最低輸入機会ともいう。日本は米の輸入に年間約77万トンの枠を設けているが、こちらも本来、輸入の義務はない。)

牛肉

 現在の関税率38.5%を毎年、段階的に引き下げ、16年目には9%まで引き下げられます。
輸入量が一定量を超えた場合に関税を元の水準に戻すセーフガード(緊急輸入制限措置)も導入しますが、16年目以降は18%までしか戻らなくなります。
また16年目以降、4年間にセーフガードの発動が無ければ廃止されることになっています。

輸入牛肉の関税率

経過年 関税率
現在 38.5%
TPP発効時 27.5%
発効10年目 20.0%
発効16年目 9.0%

 

豚肉

 豚肉は低価格帯の肉にかかる従量税(1キロ482円)が10年目に1キロ50円まで引き下げられます。
高価格帯の肉にかかる関税は10年目に撤廃され、セーフガードも12年目に廃止されます。
低価格帯と高価格帯の中間の価格帯にはこれまでどおり差額関税制度が適用されますが、10年目以降は範囲が474円~524円と大幅に縮小されます。

輸入牛肉の関税率

経過年/価格帯 低価格帯(65円以下) 高価格帯(≫524円)
現在 従量税482円 従価税4.3%
TPP発効時 従量税125円 従価税2.2%
発効5年目 従量税70円 段階的に引下げ
発効10年目 従量税50円 撤廃


乳製品

 乳製品では、脱脂粉乳・バターは関税削減・撤廃は行わずTPP輸入枠を設けマークアップ部分を段階的に引下げます。輸入量は発効時に約6万トンの枠を設け、6年目に約7万トンまで増やします。
ホエイ(清乳)は21年かけて関税撤廃。チーズはモッツァレラ、カマンベールが現状維持となった以外は段階的に削減・無税化されます。
(マークアップ=原価に加えられる一定の価格。売買差益。実質の関税として麦や乳製品に適用されている。)

 小麦は既存のWTO枠(574万トン)に加え、米国、オーストラリア、カナダに国別枠を新設し、7年目までその枠を拡大します。小麦にかかるマークアップは9年目までに段階的に45%削減されます。
小麦粉はTPP枠内の1万2500トンがマークアップはあるものの発効時から無税となります。
大麦についてもTPP枠の新設、拡大とマークアップが削減されることになりました。

小麦の輸入枠

TPP枠   米国 カナダ オーストラリア
発効時 11.4万トン 4.0万トン 3.8万トン
7年目 15.0万トン 5.3万トン 5.0万トン
WTO枠
574万トン
うちTPP参加国からの輸入量(543万トン)
米国 カナダ オーストラリア
310万トン 135万トン 98万トン


砂糖

 精製糖については現行の税率を維持しますが、糖度99.3度未満の高糖度原料糖は関税を撤廃、調整金も削減します。チョコレートや砂糖にココアなどを混ぜる加糖調製品には計9.6万トンの低関税輸入枠が設けられました。
でんぷんは既存の低関税輸入枠16.7万トンの枠内でTPP参加国を対象に7500トンの枠が設けられました。

メリットはあるのか

 守るべき分野では特に牛肉・豚肉にかかる関税が大幅に削減・撤廃されること、高齢化
・人口減少により米の消費量が減少する中、新たに8万トン近い輸入枠を設定したことに対して、政府・与党は十分な国内対策を進めていかなければなりません。
攻めの分野の工業製品は多くの製品で関税の削減・撤廃となったものの、主力となる米国への自動車輸出では現行でわずか2.5%の関税を撤廃させるまで25年もかかる協定となっています。

TPP募る不安

 TPPには毒素条項とも言われるISD条項が盛り込まれています。これまで懸念されてきた混合診療による国民皆保険の崩壊、貿易手続きの簡素化による遺伝子組み換え食品や残留農薬など食の安全の崩壊などの不安は残ったままです。さらに農業を守るためにこれから検討されるであろう国内対策も「非関税障壁」として訴えられる可能性も否定できません。
一度緩和したら再び規制できない、元に戻せないラチェット条項も盛り込まれています。将来、規制を強化または導入する必要があり得る分野は留保することが認められていて日本は社会事業サービス(保健、社会保障、社会保険等)、政府財産、公営競技等、放送業、初・中等教育、エネルギー産業などについては包括的な留保を行っていますが、不安は消えません。
政府は国民に十分な説明をすべきです。

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